養老昆虫館

cube32006-05-31

再び某雑誌の取材で藤森照信設計の養老孟司のお宅へ。カメラマンは再び本城直季さん。
箱根に行くときはいつも海側から行っていたから知らなかったのだけれど、東名を御殿場でおりて北側から仙石原経由で向かうと同じ箱根という場所がが全く違うものになっている。山に囲まれた中腹の湿地は、まるでスイスの景色のよう。ズントーのサンベネディクト教会がある辺りの風景を思い出す。そんなところを抜けて、養老昆虫館に到着。焼き杉と黄土で覆われた外観は、新建築で見ていたそれよりもずいぶんと大きい印象。ファサード側は大きな切妻の妻面の中心にこれまた大きく分厚い半楕円で構成されている。その他の面は黒杉のみで出来ているせいか、ファサード側よりも大人しくてスケールのダブつきがちょっと際立って見えてしまう。インテリアの見所と言えば、ゾウムシをはじめとする昆虫の標本が積まれているホールとリビングから見える連山。ホール部分がコンクリート+黄土で固められたボリュームで、標本のための安定した室内を作るためにそうなっているのであろう。その他の部分はコンクリートを基礎とした木造の軸組。この前の一夜亭&不東庵に比べると、建築としては緊張感がなくて、あまりぴりっとしない。
それもそのはずと言っていいのかどうか、養老さんに話を伺うと基本的に住宅にこだわりがない模様。だからかもしれないけれど、建築としてそんなに厳しいものが必要がないのかも。本当は思うところがありますが、それはまた別の機会に。それよりも、養老さんの話がすごく面白かった。また今度、個人的に話す機会があれば嬉しいなと思う。