ホテル・ルワンダ

cube32006-03-18

1994年にルワンダで起こった大量虐殺を扱ったノンフィクション。ルワンダにある4つ星ホテルのマネージャーであるフツ族のポール・ルセサバギナ氏が、1000人を超えるツチ族の人々をホテルに匿い、命を助けたという実話を元に作られている。
ルワンダ紛争に関しては、朧げにフツ族ツチ族の争いということだけは知っていたが、どのような経緯でジェノサイドが起こったかは知らなかった。簡単な経緯はこちらで。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ルワンダ内戦
で、その経緯に関して誰が悪いなどとは言えない。ただ、憎しみというのはポジティブフィードバックしてしまう、そして集団になればそれが増して、狂気の域に突入してしまう。暴徒が鉈をもって踊りながら行進する様は、映画とはいえとてもリアルで恐ろしい映像だった。殺戮が快楽に変わっていったのだろうと想像がつく。そんな中、フツ族であるポールがツチ族を匿うという「正気」を維持できたのは、どのような力なのだろう。もちろんツチ族である彼の奥さん、家族を守るためなのだろうけれど、一度ポールは家族を先に国外に脱出させようとして自分だけ残ろうとする。その時には家族への愛を超えて、人間の尊厳が彼の中にあったのだろうか。
この大量虐殺で人口の10%にあたる、100万人が亡くなったらしい。渋谷の映画館を出てハチ公の交差点を渡る時に、ここにいる全員が死ぬことを想像して、その風景を描いた。隣人同士で殺しあうのである。この状況はサラエボ紛争の時分も似ている。以前、「サラエボ旅行案内」という本があると書いたけれど(http://d.hatena.ne.jp/cube3/20050202)、状況としてはサラエボよりも悪そうだ。
あと、訂正。誰が悪いかといえば、間違いなく先進国。もちろん、日本も含め、僕もその国の国民。アフリカを侵略し、近代文明社会を持ち込み、勝手に国境線を引き、ツチ族フツ族を分けて、優劣をつけて、自分たちの正義をもってして突然、手を引く。争いが起こっても知らんぷり、難民が出ても面倒をみきれないという。この時の難民を日本は何人受け入れたのだろう?たぶん、ゼロだけれど。
もちろん、僕が個人でたいしたことを出来るかとは思わないけれど、とりあえず意識だけは高く保ち続けたいし、こういう世界的な格差を擦り合せていこうという政治家がいれば、ぜひ投票したいのだけれど、ね。なかなか、常に自分のことで精一杯なのは一人の人間も国でも同じことみたい。
とにかく久しぶりに映画で涙しました。多くの人に観てもらいたい映画です。
http://www.hotelrwanda.jp/