オープンハウス1軒

写真がないのに書くなんて、申し訳ないのだけれど、僕の研究室の先輩にあたる東海大助教授の岩岡さんが設計した住宅を見学に。東武練馬の駅から歩いて7分ほど、僕の自宅からだとバスで延々と成増まで乗って行き、そこから東上線で。初めて東上線沿いを訪れたと思う。そして驚いたことは、そこの地形がとても豊かであること。恐らく武蔵野台地のエッジのあたりなのかな。比高が20m近くかそれ以上もある場所とかがある。
そんな場所で高台に佇む住宅。アクセス側はクルドサックになっているような、密集した住宅地。でも崖の端に建っているので眺望は抜群にいい。そんな場所に建ってたら大きくそっちの景色を使おうと思うのが常套だけれど、岩岡さんはなかなか天の邪鬼な人じゃないかな、そんなにストレートには作らない。それよりも、以前からテーマにしているように思える構成をいかに展開できるかということを主題にしていそう。それは中心にコアがあって、その周囲をぐるぐると小さな室が取り囲むというもの。今回は中心に螺旋階段を据えて、4つの方向に階段の高さに合わせてフロアを作ることで、細かなスキップフロアを作っています。こういう構成ってけっこう学生でも思いつきはするもんですが、それにリアリティをもたせてビシッと収めるのは、さすが岩岡さんの技量。収納や設備スペースをうまく絡ませておもしろい動線を作り出していました。こういう空間を体験したのは初めてかもしれない。
で、僕が思うにそういう構成以上に重要なのが、外殻との関係。そういうシステマティックではあるけれども、複雑な構成をとっていながら、外観はまったくそれをにおわせないプレーンでモノコックな外装で包んでいます。外形は部分的に斜線の関係で斜めにカットされていて、家型を思わせる。窓の高さ関係から内部の構成が判るわけでもないし、そもそも窓の量が少ない=壁の量が多い。こういう風に作られると、非常に内外の対立関係が際立ってくるわけで、じゃあなんでその対立をつくらなければならないんだろう、と思う次第。ある種の欲求に対してストイックにつくっているだけに、その思いは強くなります。それが建築家の表現だとしても、その表現の根源を説明しなきゃならんって大変なことだろうな、と。
って、勝手に想像して書いてるけれど、主題は違うところにあるだろうなー。

追記:写真をもらいました。copyright: daisuke ibano