アースダイバー

cube32006-01-03

これも文学ではないけれど。最近、本を読んでいないわけではなくて、原文でフィッツジェラルドの「夜はやさし」(Tender is the night)を読んでいて、これがまた進みが遅い。「The Great Gatsby」みたいになんだか感情移入し辛くて、だんだんと読む気がしなくなってくる。
そんなこんなで気分転換に中沢新一著のこの本。某友人に紹介してもらったのだけれど、現在書いている僕の修士論文にとても関わりのある本です。東京の地形を大きく2つの地層に分けて、現代の都市との繋がりを考察しているもの、とここまではきっかけとしてはよくわかる。2つの地層というのは縄文時代に海だった地層と、もともと陸地だった地層。例えば今の汐留や浅草などの下町の方は大昔は海だった場所で、皇居のあたりはちょうど海に飛び出す岬になっていた場所である、という事実。そこから類い稀なる想像力(もはや妄想力!)を働かせて、先っぽだから男性器がどうこうとか、横穴があったら女性器がどうこうだとかいうように、フロイトだかなんだか僕はよく知らないけれど、メンタルな領域での読解を進めてしまう。それが楽しい人もいるのだろうけれど、僕にはぶっ飛んでるようにしかみえない。とはいえ、並べている事実は非常に興味深いものが多くて、僕に新たな視点を与えてくれた。陣内さんの「東京の空間人類学」や槇さんの「見えかくれする都市」がそうであるけれど、東京の歴史を考えた時に江戸時代を中心に語ることが常套句のようになっているけれど、地形は地球ができたころから常に変化しながら在るものだし、都市との関わりで考えた時に縄文期を見据えるというのは、なるほどと思うところ。ただしそこからダイレクトに近現代に結びつける著者の語り口には辟易することがしばしばだった。