愛より強い旅

cube32005-12-28

前日に年内最後のゼミと忘年会があって、とりあえず大学関係の行事は終了。久しぶりの休日が水曜日だってことで、シネアミューズに映画を。
トニーガリフ監督でロマンデュリス主演。今年のカンヌの最優秀監督賞を受賞した作品。アルジェリア2世の彼女と両親がアルジェリアで生まれ育った男が、自分達のルーツを求めてアルジェリアまで旅にでるというはなし。アルジェリアに行くのにパリからなぜかスペイン経由でいく。
この映画は要するに「音楽」と「アイデンティティ」という2つのファクターが結びついて出来上がった映画かな、と。移民2世の「どこにいてもよそ者」という感覚を常に支えているのは音楽という「宗教」に極めて近いもの。スペインでモロッコ系移民に「君達の宗教は?」と聞かれて、「音楽」とロマンデュリスが答えたのは印象的。でもその音楽が実はアルジェリアの人たちと深いところで結びつくきっかけになる。単なる宗教ではなくてもっとユニバーサルなものとして音楽の存在がある。宗教って言語化されたものだけれど、音楽はもっと人の精神の深淵に関わる。最後のアルジェリアシャーマニズム的なものだろうけれど、トランスに近いような音楽と踊りのシーンは圧巻でした。映画が2次元上に表現されたものではなくて、劇場全体を包むような空間として成立していました。こんな映画、みたことない。
絶対に映画館で観るべきですね。