東京組

東京組という世田谷に本拠地を置くデベロッパーが企画した、建築家の建て売り住宅のオープンハウスへ。みかんぐみ石黒由紀さん、若松均さん、納屋さんの4組が設計した4戸の住宅。それぞれ敷地が30坪ほど、延べ床が150未満程度の3、4層。
角地にみかんぐみの住宅。エントランス周りの高さ関係がおもしろい。担当の長谷川さん曰く、ガレージの位置や擁壁の高さ関係で比較的オートマチックに構成がつくられているとのこと。地下室の開口が少ないのがちょっと難がありそうだけれど、主室は開放的だし、面している街路とか挟んで向かい側の森との関係が上手いこととれている。3階のプランニングがあまり面白くないのが残念。
みかんぐみの左側に石黒さんの住宅。外観からわかる3層目のガラスブロックが印象的。構成はきわめてシンプルで、1階の手前がガレージ、奥に個室、2階にも個室が2つで、3階が3方をガラスブロックに囲まれた主室。開いているのはみかんぐみ同様森側へ。その3層を奥の螺旋階段が繋いでいる。螺旋階段にあわせて基本的にキューブのボリュームの一部が円弧を描いている。玄関は手前から階段を上って2階から。それぞれの部屋は仕上げがまったく違っていて、個室のキャラクターは強く表現されている。さて、どのように評価すれば良いのかわからない。確かにどの部屋もよくできているんだけれど、それぞれが独立し過ぎていてそれぞれがあまり関係がないような気が。テーマ主義はどうかとおもうけれど、テーマがまったく見えてこないのもこちらが路頭に迷う。
みかんぐみの右側には納屋さんの住宅。外観を一目見れば全てがわかる、箱を少しずつずらしたような構成。インテリアもそのまんま。その構成を強調したいがためか、ほとんど開口部がないし、あっても小さい。しかも、はめ殺し。ちょっと辛そう。周辺との関係を切って、ミクロコスモスをつくろうとしているあたりは70年代的。地下がガレージと浴室だけで、建築としては見捨てられているというのも考えもの。
奥に旗竿状敷地で若松さんの住宅。ひとつだけ平均地盤面が高いんでしょう。それを利用して最高高まで塔状のボリュームを伸ばして、頭ひとつ周辺から飛び出している。ワンフロアワンルームを積み重ねただけの4層構成、3層目はグレーチングだったので床面積には入っていないみたいだけれど。それを螺旋階段が貫いている。外形が表現となっているのか、インテリアはごくごくシンプル。リビングから敷地の竿部分を臨むあたりがいい感じ。ただこれも開口が少ない気がして、全体的にちょっと重い。
全体的に見てみかんぐみが好感が持てる作り方でした。石黒さんのが一番個性的というか、作家性のある住宅だったと言えるかな。