Palace and Mosque

cube32005-10-25

お昼に久しぶりにバワリーキッチンへ。すごく込んでいたから仕方ないかもしれないが、サービスの質がかなり低下している。3年前はみんなフレンドリーで楽しかったのに、面白くない店になってしまった。
それはそれとして、砧公園にある世田谷美術館の「宮殿とモスクの至宝」展へ。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館所蔵のイスラム圏のものを持ってきたもの。イスラムといってもかなり地理的にも歴史的にも広いのだけれど、それらを少しずつ幅広く紹介している。偶像崇拝が禁止されているイスラム世界では幾何学の文様がかなり発達しているのだけれど、それは基本的にはモスクのための装飾品としてである。一方で日用品には動物や植物のモチーフが多用されていて、それらの装飾の繊細さといったら筆舌に尽くし難い。もっとも興味深いのはカリグラフィーの美術としての発展。日本でもちろん習字が独立した芸術として成立しているけれど、イスラム圏においてそれは紙に書かれるだけのものではなくて、あらゆる食器や装飾品などに刻まれるもの。基本的にはコーランの言葉や贈呈される人物のなが刻まれているようだけれど、時には意味すら失って純粋に図像として表現されている。それらカリグラフィーが植物や動物などと併置されて、時にはそれらと混じりあっていく。また別のポイントで面白いのが、使い古されている言葉だけれど、部分と全体の関係。バリのアートとかは、その部分が人の活動であったりして偶像で出来ていて、全体までズームアウトしてみるとそれらは模様に見えるけれど、今回の場合は微細なところから幾何学であったり抽象的な図像で、それが全体になったときにも同様にして均整のとれた抽象的な図像である。まるでフラクタルのような。もしかしたら、イスラム圏で数学が発達したというのも、このような抽象的な幾何学の世界となんらかの関係があるんだろうな、という感じです。ちなみに以前に行った、チュニジアのモザイクなどは今回紹介されているものとはまた、まったく違うのでもちろん一概にイスラム文化を一括りには出来ないでしょうが、ある種の流れはあるんでしょう。
帰りは砧公園で昼寝。