最期の瞬間のすごく大きな変化

cube32005-10-24

グレイス・ペイリーという、アメリカの女性作家の短編集。この作家、今はかなりの高齢だそうだが、今までにこの短編集を含めたった3冊の短編集だけで、アメリカでの地位を築いているらしい。とりわけ女性には好評のようです。というのは、短編の半分くらいは40代の主婦であるフェイスが主人公となっていて、彼女の身の回りのごく日常的でかつ日常的でないともいえる、奇妙な出来事ともいえないようなストーリーばかりです。翻訳者は例によって村上春樹なんだけれども、あとがきで書いてあるように、かなり文体が独特で、日本語にする時にそのテイストを伝えるのが容易ではなかったそうな。確かに奇妙な言い回しの箇所が目立ったり、独特のリズムみたいなものを感じました。この作家が非常な人気を得ているのはよくわかる気がします。というのは、多くの人がイメージしているアメリカ的なものとはとても隔たりがある日本人とは違う曖昧さを包含しているし、それがアメリカのごく普通の家庭の中に鏤められているというのは、親近感が得られるんだろうな、と思います。