The art of crying

cube32006-10-27

東京国際映画祭コンペティション部門のチケットをもらったので、観に行きました。場所はなんとオーチャードホール。明らかに映画を観る環境じゃない。アリーナ席は見上げる感じだし、後ろの方は果てしなくスクリーンと遠い気がしてしまう。というのも、そもそも大きな劇場でメジャー映画をほとんど見ていないから、そう感じるのかもしれないけれど。やっぱり今度、音楽を聴きに来よう。
で、タイトルにある作品を見たのですが、デンマーク映画。解説には葬儀の時の挨拶がとても巧い人のお話、といったかんじで、タイトルに即した解説の書き方だったのですが、全然方向が違う。家族愛と虐待がテーマになっている、テーマ的には非常に重い内容。初めの方は虐待をはっきりとは描かないものの、その片鱗がちらほら。とにかくそんな重い内容をあまり悲観的にならずに、ユーモアをちりばめながら描いている。また虐待をする父の完全なる悪を描くのではなくて、それが実は父の家族が持っていたある種の歪みが次世代に繰り越されて現れてきたものだと分かる。完全に悪循環。でもそういうことって確かに親から子へと受け継がれていくわけで、そこにやるせなさを感じるのですが、一方で息子の言動がユーモアとして、救いとして希望を感じることもできる、という。
いや、とてもよくできてる作品だと思います。劇場で公開されたら、ぜひお勧め。