雲野流山の住宅

前日からの天気を心配していたのですが、無事にきれいに晴れてくれて。千葉方面の郊外の住宅地にある雲野流山の住宅へ。僕の師匠、坂本一成が1973年設計した住宅でメンテナンスの相談があったので、代わりに訪問してきました。
坂本作品はこの次の「代田の町家」から、「家型」ということを言い出したりして建築の意味論の世界に足を突っ込んでいきますが(要するに多木浩二さんに出会う前後ということらしい)、よくも悪くもそういう建築論的な思考の産物というよりも、感性、特に彼のスケール感覚が強烈に表現された作品と考えていいでしょうか。素材の扱いはかなりドライで特別な意味を持たないようにペンキで塗り込められていたりして、抽象的な面によって構成されているので空間の輪郭がより明確に浮き上がってきます。
現在は発表されていた当時に比べて、インテリアの白のペンキは落ちてきてうち放しのコンクリートに薄く白い塗膜が残っているていど。シャープというよりも柔らかなインテリアの印象に変わっています。正方形4500角の断面のプロポーションは若干高すぎるかな、っていう印象。それもあって、「代田の町家」では3900になったのだとか。