多木浩二

うちの先生と多木さんの仲は言わずもがな、マブダチを超えた恋人同士みたいなもんで、たまに多木さんが来室しては長時間笑い声が絶えない。今回の来室の目的は定かではないけれども、ちょいと先生部屋の近くを通りかかったときに、坂本先生に呼び止められる。そこで多木さん、「面白い現代建築家はいないかね?」僕は一瞬頭を巡らすも、すぐに「やっぱりレムだよ」という話に。特にレム本人から多木さんはシアトルを見に来るように言われているらしい、「交通費も出すから」って。なにやらレムと多木さんの仲は、ヴィラ・ダラヴァ以前に遡るらしく、ヴィラ・ダラヴァを建築中の現場に度々足を運んだらしい。ちなみに施主は大橋さんの家具のコレクターでもある。そんなこんなで、とにかく今までのエルクロをペラペラめくりながらの建築談義。伊東さんはもちろん、リベスキンド、ザハ、ヌーヴェルなど。僕はヌーヴェルの前期の作品はとても共感が持てるのだけれど、やはり坂本先生も多木さんも同様のことを感じていたらしい。特に今は集合住宅のプロジェクトをやっているので、Nemosusの集合住宅はよく見ている。全然、プランは違うけれど、ああいうもの以上のものを作りたいと思っている。
なにはともあれ、多木さんの言葉の一つ一つは深い思索の末に選ばれた言葉のようで、僕は考えさせられたこともあるし、とても勉強になった。いや、ホントにすごい人だ、あの人。