ラストダンス

とんだ結末を迎えてしまった決勝戦だけれど、当初の予想を裏切ってフランスががんばってくれたことはホントにうれしい。ジダンといえば僕はパリに住んでいたときに、一度だけフランス代表の試合を観に行ったことがある。たしかEURO2004の予選かなにかで、既に本戦進出を決めてしまっていたイスラエル戦。ジダンの禿げた頭だけはスタジアムの遠くの方からでもよく認識できて、しかもボールを受けたときの彼の周囲はちょっと空間が歪んでしまったかのよう。以前、研究室でダンスをやっていた同級生がダンスによってできる空間なんてことをしきりに言っていたけれど、ジダンのプレーをダンスと形容するのは、なるほどと。
例の頭突きですが、異口同音になりますがやってはいけないのは、もちろん。でもやっぱりマテラッツィも同様に退場すべきであると思う。今回の件でひとつ問題だと思うのが、やはりビデオによる第5審判の判定。第5の審判が確認して、第4の審判が主審に伝えたと言う。その伝言ゲームによる内容で主審がジャッジするのがまず疑問。ビデオ判定をするならば、最終的な裁量権をもっている主審が確かめるべきだと思う。まあそれよりも、ビデオ判定そのもの。今回のケースで言えばジダンが頭突きをした映像がかなり鮮烈に印象づけられているので、批判がマテラッツィに向かない。やはりこれはおかしい。レッドカードを出される基準として「非紳士的行為」があるわけだけれど、非紳士的発言の検証をしようがない。フィールド上のそのような発言が審判の耳に入ったらもちろんカードが出されるし、非紳士的行為が審判に見られてもカードが出される。不完全な人の感覚によるジャッジを補完するための不完全なビデオ判定が、それらの行為の重大さの差異をつくってしまう今のシステム。だったら不完全なままのほうがジャッジングとしては公平であると思うのだけれど。
ちなみに僕的には、MVPはヴィエイラですね。