70年代狂い咲き

cube32006-02-08

梗概の提出を終えて本論を書かねばならないのだけれど、やたらといろいろなことがあった一日。
13時に国際交流基金の方がやってきて、坂本展の展示物の受け取り。2004年10月からミュンヘンでスタートした展覧会のヨーロッパツアーのブツが戻ってくる。僕はオスロ展から5つの会場構成を計画したのと、そのうちの1つのエストニア、ハープサルでの展覧会には現地まで赴いたので、何かと思い入れがあります。何かとわかっているのが僕だということで、展示品の状態のチェックが僕の役割に。久しぶりに対面できた、展示幕や模型が一部を除き思いのほかいい状態だったので良かった。
その後、エックスナレッジの某敏腕編集者が来室。眼鏡が替わっていた。無精髭をはやしていた。相変わらず飄々としていた。で、僕も少しだけ手伝った本を頂きました。今回は名前が出るようなことをさせてもらっていないので、でも内容は面白そうだし買わなきゃ、と思っていたので嬉しい。タイトルにあるように「住宅70年代・狂い咲き」という、そのまんまの内容。15人の建築家の代表作の取り下ろし、あるいは竣工当時の写真と掲載論文、あとそれぞれに現代の建築家、史家の方がテクストを書いています。あとは塚本さん、中谷さん、植田さんの鼎談、奥山さんの70年代の総括とデータベースといった構成です。
僕らくらいの世代にはあまり知られていない住宅が多いだろうし、タイトルが示す通り住宅の表現がこれほどまでに自由で、今の僕らからすれば荒々しく、でもプロジェクトではなく竣工して現実的に建ち現れるというそのものの醸し出す存在感を感じられれば、とても価値のある一冊になっていると思います。
まだあまり目を通していないですが、ひいき目ではなく僕の研究室の助手の中井邦夫が書いている、象設計集団の「ドーモセラカント」にかんするテクストは秀逸です。作家、あるいは作品解説には留まらずに、住宅、建築の意味の問題に(自分のいいたいことに)みごとに昇華させています。とくに最後に引き合いにだしたC.ノベルクシュルツのテクストがフムフムと。