都市の街割

cube32006-01-28

SD選書なんで本の画像が真っ黒。ちなみにネット上でこの本の絵が見つからなかったので、別のSD選書のものが画像です。どうでもいいことですが。
研究に関係するので図書館で借りた本。街区と建物の関係を街路からの表裏の関係を主に述べている。筆者は仙台出身という理由だけで、資料対象が仙台なのだが、グリッドの街路を基本として語っているので、もちろん札幌だって名古屋だって照準に合うであろう。ギリシア都市国家のグリッドから始まり、中世、近世の西欧都市のグリッド、日本だと平城京平安京からスタート、間がすっ飛んで仙台の話。戦前から戦後復興にかけての街割りの変遷を検証している。とまあ、とにかくグリッドが基本の論なので、僕の研究しているグリッドが成立しないような都市に関しての記述がほとんどなかったのが残念。反面、十分に距離が取れていることで安心。
それら都市の街割ともいえる内容に続き、その街区の中の路地を熱く語っている。さすがに京都工芸繊維大学の教授。なぜだか京都の人たちは路地空間が大好きだ、熱狂的に。もちろん筆者は路地空間の「功罪」の「罪」のほうも十分認識した上で、でも「功」も認めてよ、と言わんばかり。機能合理主義的に考えればもちろん路地の価値は低いわけで、でもコミュニティ論(そんなのあるのかな?)とか、空間的な水準ではその価値は評価できるとは思う。とは思いつつも、論理的に(≒合理的に)そういうことを語ることってたいへん。話が飛ぶけれど、そもそも論理性に納得させられてしまう、あるいはそれを利用して人にものを伝える、僕自信の思考の基盤ってけっこう危なっかしいかもと、ちかごろ思います。
梗概提出まで残り1週間。