大いなる遺産

19世紀後半のイギリスの作家、ディケンズの長編小説。かなりポピュラーな人らしいけれど、よくよく考えてみたら外国の過去の作家のものはあまり読んだことがなかった。完全に村上春樹の影響でアメリカならフィッツジェラルド、レイモンドカーヴァー、ヘミングウェイあたり20世紀前半の作家、あとは本当に教科書に載っているような作家たちしか読んだことがなかった。(もしかしたら、ディケンズも載ってるかもしれないが)あ、あと、ムーミンは読んだな。
で、かなり強く思ったのがやはり外国の文学作品は原文で読んだほうが良いってこと。この本の翻訳は昭和21年になされたもので、既にその当時の日本語と現在の日本語の隔たりがあろうに。まあそれよりも、翻訳が明らかに...日本語として明らかにおかしい箇所が多すぎる。主語述語の関係だとか。村上春樹が「遠い太鼓」の中で作家にとって大事なものを「一に体力、二に文体」って表現していたけれど、きっとそのオリジナルな(そしてもっとも重要であろう)文体が翻訳の過程で失われてしまっているんだろうな。それは決定的かな、と思う次第。
それでも読める内容として、この小説に出てくる登場人物のキャラクターがとてもおもしろい、個性的。もう少し別のものも読んでみようかとは思います。