ドリアン・ドリアン、柳と風

前者はフルーツチャン監督の香港映画。中国本土の東北出身の若い女の子が香港で3ヶ月限りの売春婦として出稼ぎに。そして同様にして深?から家族でやってきた少女とのデュアルストーリー。中国の農村部と都市部の格差の現実がリアルに批判的に描かれている一方で、地方は地方なりのライフスタイルの豊かさがメッセージとして込められている。「故郷の香り」もそうだったけれど、現在の中国社会には都市部への過剰な集中に対する危機感があるのかなあ、なんて。
後者は「桜桃の味」のアッパス・キアロスタミが脚本を書いている作品で、監督はあまり有名な人ではない。ストーリーはシンプル。小学校の窓ガラスを割ってしまった少年が、友達にお金を借りて、そのガラスを直そうとする、というもの。その筋を淡々と描いているだけなんだけれども、かなりの緊張感。ガラスの脆さがすごく上手に表現されているし、そのことが物語全体に緊張感を与えているように思う。映像表現の教科書のような作品かもしれない。