サラエボ旅行案内

「立っていても踊っていても銃弾が当たる確率を同じだとすれば、踊った方がいいと考えるのがユーモア」
92年頃に戦時下のサラエボで書かれた本。旅行案内というタイトルそのものが既にユーモアであって、その頃のサラエボセルビア人勢力に包囲されていて、旅行なんて出来るもんじゃない。この本はサバイバルガイドで、いかにして戦時下で生き延びるかということをミシュラン風に書いています。その書き方は決して悲観的ではなくて(ブラック)ユーモアを交えながら、その状況を相対化するように、そこから距離を置いて書かれています(筆者はもちろんサラエボ内にいた)。ペシミスティックに状況を見るか、オプティミスティックに現状を捉えるか、絶対的に建設的なのは後者であると思います。先週のピータークックを初めとするアーキグラムの原動力も途方もないユーモアからくるものだと感じています。
サラエボは痩せた人ばかりだ。彼らなら最新のダイエット方法について本が書ける。唯一必要なのは街を包囲させること。−(中略)−サラエボ市民はおよそ4000トンの体重を減らした(40万人が一人当たり10キロの体重を減らしたとして)」