ピータークックと伊東豊雄

なんだかわからないけれど、今日は啓示を受けたような気がしました。この前にアーキグラムのメンバーが東工大で講演をしましたが(それは酷いものだった)、そのときにいなかったピータークックが研究室を訪れてきました。アーキグラムといえば60年代に全盛期だった、既に歴史上の人物。今やっている森ビルのアーキラボで見ても、実験的な建築、アンビルドアーキテクトの先駆者です。要するに彼が来た目的は設計製図の非常勤で来ていた伊東さんと話すためだったみたいだけれど、一応最初の2人くらいの学部生のプレゼンをみて立ち去る。そこで流れで駅まで彼を送ることになって、5分くらい話す機会が出来ました。もう一人ジャーナリストの方がいて、ピーターはひたすらとにかく「今日の昼ごはんがうまかった」だの「建築家はおいしい料理も知っていなきゃならないし、きれいな女性をしっていなきゃならない」なんてことさえも、あっけらかんとすごい勢いで楽しそうにしゃべり倒していました。アーキグラムのほかのメンバーたちが持つニヒルな、ヒッピーぽい雰囲気とは全く異質の超オプティミズムみたいなことを僕は強く感じました。駅に着くと「名前は?」と聞かれて、答えると、「将来、君が有名な建築家になったら、僕は君に駅まで送ってもらった事をみんなに自慢するよ」といって去っていきました。字面で見てしまうと、なんてこともない、ありふれた一言なんですけれど、その言葉に僕は正直、えらく感激してしまって、彼が自慢できる種を蒔いてやろう!って小さな決意をしました。彼のそのような言葉には奇妙な説得力というか、きっと人の心を動かす力があって、その原動力となっているのは、途方もないユーモアに近いものなんじゃないかなって思いました。なんで突然ユーモアって話が出てくるかというと、それはとりあえず稿を改めます。
そして講評会の後は毎回恒例の研究室内輪飲み会。冷静に見てその顔ぶれたるや凄まじい。伊東豊雄坂本一成塚本由晴、奥山真一。そしてその話がおもしろくて仕方がない。もちろんここで全体は書けませんが、とにかく伊東さんの視野の広さには感心するばかりです。あの塚本先生が手のひらの上で転がされているようで、なんだかいろんな物を包括的にうまい距離感で見れている気がします。具体的なトピックとしては、伊東さんのメディアテーク以降の近作について、それに関わってパブリックとプライベートから、現在と少し前を比べて共同と個人に関して。