多摩ニュータウン

大学の次の課題が高幡不動にある百草団地のリノベーションなのでちょっくらmic氏と見に行く。休日返上でそんな田舎に詣でるなんて素晴らしいTAだなって、自画自賛。最寄り駅の高幡不動にはもちろん初めて下り立つも、一見するとニュータウンの雰囲気はない。駅を出てすぐ右手には大きな高幡不動があり、昔から街道沿い(恐らく甲州街道)の寺町なんだろうなと思わせる風情。一方で左手に街を歩き坂を上って丘に出ると、風景は一変して典型的な団地街。僕自身、大阪のニュータウン的なところで育ったから懐かしい風景でもある。
課題の百草団地は1960年代に開発されたようなところで、よくある団地の中心のショッピングセンターは槇さんが設計したもの。1Fに小売店が入って、2Fは集会所、3Fはテラスハウスになっていて、団地全体の遊歩道が建物に貫入して通り抜けになっており、なかなか気持ち良い空間。かなり薄汚れているものの、スケール感も良いし一見の価値あり。2Fの集会所はもはや使われていないのが見えていて、犯罪の温床地帯になっている雰囲気。あの中学生がタバコとかシンナー吸ったりとかその程度のね。3Fのテラスハウスもギリギリまでスケールがそぎ落とされている。間口が狭く奥が深いのでプランがどうなってるか、ちょっと気になるところ。玄関前のちょっとしたニッチな外部空間に高木を植えていたりして、住人の趣向が表に出てきていて面白い。平準化を基として作られた公団にこういう曖昧なスペースがあると、全体として画一化を避ける方向に働きますね。
百草団地の特徴は地形の起伏が豊かなのでランドスケープがそれらしく見える。5F建ての階段を上っていくと多摩丘陵の遠くの方まで見渡せてとても気持ちがいい。それもひとつには隣棟間隔が一般のニュータウンよりも広いのがあるでしょう。建蔽率がとても低いように感じる。この辺りも地形との関わりの中でそうならざるを得なかったのでしょう。またその地形の上に羊羹型の住棟をのせるもんだから、階段の取り付き方がイレギュラーに。地形との折り合いの付け方が特徴的です。
その後、高幡不動を参拝し、多摩モノレールで多摩センターへ。このモノレール、多摩動物園を過ぎたあたりで山の中にトンネルで突っ込んで行く。モノレールはトンネルなど掘らず、地形を超えて行けるあたりが一つのメリットな筈なのに、トンネルでくぐっていくだなんて見たことがない。異例です、この場所。また、多摩センター駅における端部の有り様はなかなか楽しい。非常に即物的
到着した多摩センターはとにかくニュータウンの理想郷。駅から下りるとペデストリアンデッキ、その下にバスターミナル。ペデストリアンデッキは少し上り勾配の中心軸として、先のパルテノン多摩(恐らく、磯崎さんの設計)に到る。もちろん、パルテノン多摩はシンメトリー。青色LEDのイルミネーションがキラキラして、30代後半から40代くらいの夫婦+子供が1人か2人の典型的な家族が一眼レフのデジカメで写真を撮りまくっている。こんなことを言っちゃいけないのは分かっているのだけれど、本当に嫌悪感が、。平準化されたイメージ通りのライフスタイルを演じることがこの場所ではステータスになっているのがよく分かって、そしてそれが外部からみるととても不愉快にうつるのはなぜだろう。ちなみにサンリオピューロランドもあります。
しばらくそこにいるとすごく疲れてきて、とにかく脱出しようと、その逃亡先は下北沢。