創発

cube32005-11-07

ジャンルの分類がliteratureだと「文学」になっちゃいますが、それ以外の本に関してもこちらで。
聞き慣れない言葉、本のタイトルにもなっている「創発」というのは、なかなか一言では説明し難い。スティーブンジョンソンという人が著者。要するにテーマ的には昨今のウェブであるとか、コンピューターのプログラムの関係の話を蟻の巣だとか、都市的状況をアナロジーにして考えましょう的な。それらの関連性を考えてみることで、バックグラウンドにある自己組織化、あるいは創発という概念を紹介している。
発想としてはかなりおもしろいもので、トップダウンによらない集団の組織化のメカニズムを説明している。つまり蟻の巣は女王蟻がいて、兵隊蟻、働き蟻がいて、、というように、なんとなく封建制度的なモデルで僕たちはその組織を捉えがちだけれど(もちろん名前に由来して)、そうすると女王蟻が働き蟻を従えて組織を運営していると考えがちだけれど、決してそうではない。働き蟻は女王蟻に一切の指示は受けていなくて、みな個々の判断のもとで活動していると言う。では何をよりどころにして活動しているかというと、フェロモン。そのフェロモンは働き蟻自ら出しているもので、つまり近隣の働き蟻はそのフェロモンを手がかりに似たような行動を始め、同じフェロモンを出し、さらにその近隣の...という、デフレスパイラルではないけれど、ポジティブフィードバックという相乗的な効果を続けていく。それが自己組織化というもので、蟻が何世代にもわたり徐々にその自己組織化の中で目的に対して効率のいい行動が自然淘汰によって進化していくと、それが「創発」的ということみたい。
なんだか解りにくいかもしれませんが、都市に関する様々なこともこれをヒントにした解釈が出来るようで、なかなかなるほどなと思う箇所がたくさん。