女性専用

僕も利用している私鉄にも女性専用車両なるものが導入されました。この日記を書いているのは既に11日なんですが、確かに車内の様子が変化しました。一番気になったのは視界が狭くなったことでしょうか。やはり身長が低い女性が車内から少なくなったこともあって、ぐんと平均身長が高くなった気がします。それに加えて、実際的な色が減ったようにも思います。やはり女性は髪が茶色だったり、服の色が鮮やかだったりするものです。そういう意味で、車内の環境の変化はあるし、つまらないものになったのは確かです。
しかし、恐らくどこでも議論されていることでしょうが、なんで女性専用車両なんて必要なんでしょうか。賛否両論あるところでしょうが、それぞれの主張にはそれぞれの立場があることでしょう。確かに痴漢被害に悩まされる女性はこれからは安心が得られるでしょうが、逆にそれ以外の車両に乗る女性の立場を男性はどのようにみるのでしょうか。むしろつけあがる輩が現れる心配というのもあります。あと、逆差別だという声。これもごもっともなのでこの際、男性専用車両も車両の正反対の位置に作ってみてはどうでしょうか。そうすればこのような批判は少なくなるでしょうが、かなり乗車率の低い車両になったりして。そういうことならむしろ快適に通勤できるかもしれません。
で、僕の最も気になることは、結局のところコミュニティ間の問題(今回の場合、男性と女性、ジェンダー間ってこと)を隔離することで解決する、という方法です。ゲーティッドコミュニティと言えば、例えばゲットー。ナチスユダヤ人を強制的に隔離した地域。これは人種間の隔離。あるいは東西分裂ドイツ、この場合は政治的なもの。要塞都市LAで書かれていたのは、富めるものが安全と財産を守るために自らをゲーティッドするというもの。このような歴史が示すのは、ゲーティッドすることで解決することはあまり少ないということじゃないでしょうか。結局、問題の根本的なところには手を付けずにゲーティッドして隔離するという解決法は、それら2者間の対立の構図ばかりを強調するもので、最終的にハッピーな方向にいくとは思えません。
僕がフランスに住んでいたときは時として満員電車はありましたが、痴漢なんてことはいっさいなかったように思います。(スリやレイプは日本より多いでしょうが)もしそんなことがあれば、された当事者は大声でされた旨を主張するであろうし、周りの人間が気が付けば助けてあげる、そういう意味では意外にも社会的な繋がりが強いのかもしれません。そのあたりは個人主義ではない。日本の場合だとたとえ駅でけんかをしてようが誰も止めない、ただとりまいて眺めているだけです。そこで止める勇気なんて必要ないくらいで、止めて当たり前、そういう社会になれば多少なりとも痴漢の被害も減るでしょうに。お互いに程々の干渉をしあう社会の方が物事がうまく進むのかも、と思う次第です。