ヴィトン銀座+ディオール銀座

免許の更新のために東陽町に出向く。ほとんど来ることのない江東区の雰囲気はどうも好きになれない。きっと100年前だったら楽しかったのであろうが、今は車がガンガン突っ走って空気が淀んでいた。たまに築50年以上も経っているかのような古いお菓子屋さんがあったりなんかして、それらの建物が街並をつくっていたことを想像すると楽しそう、という意味で100年前は、ってことです。
東陽町から日本橋まで地下鉄の駅でいうと4つほどなので軽く歩けるだろうと思ったのが勘違い、けっこうな距離でかなりへばってしまう。この4つなら大丈夫だろう感覚はパリで培ってきたもので、どこからでも5分以内にメトロの入り口が見つかる距離感が身に染み付いているらしい。結局は東京の巨大さを思い知らされました。
何も歩くこととなかった距離を歩いたあと、銀座方面へ方向を転換。あんまり銀座の土地勘がないけれども、なんとなく歩いていてヴィトン銀座に遭遇。2重の市松模様がつくるモアレは歩きながら変化するということで。目の端っこにあっても気になる存在ではある。人の動きに対して模様が動いて見えるというインタラクティブな現象は現代の社会を考える上でもなるほどなって思う節もあります。
その後はディオールへ。こちらは正直言って、なんてこともない、写真と変わらない。昔、僕の師匠とも言える人に「建築を写真でみて満足してちゃいかん、情報量が実物は数千倍あるもんだ」なんてことを言われたんですが、ディオールに関してはむしろ雑誌で見た方が情報量はあるのかもしれないくらい。ということは、まさにこの建物はスペースではなくて建物の面的な存在を表現しているに過ぎないのかな。ともすれば、ある意味ではセジマさんの薄さとは違った、建築の極限的な薄さを発見しているのかもしれません。が、それが面白いのかな、と率直に思う次第。その点、ヴィトンは都市において、建物と私の関係の中でスペースをつくっていると言えましょうか。