マゴニア

「希望は最後には終わるもの」という言葉を基に、3つのパラレルストーリーが1つの横つなぎのストーリーで紡がれるという構成のオランダ人監督のファンタジー。横つなぎのストーリーというのは、毎週日曜日に船に乗って会いにくる子供とお父さんの話。元船乗りであろうお父さんはロープの結び方をメタファーにして、希望ということを子に伝えようとする。「ロープの基本的な結び方は8通りあるけれど、その組み合わせで366通りのロープの結び目はつくられる。でも結果的には結び目は解かれるもの。物語も同じで、結果はすべて同じである」と冒頭から結論めいたことを引き出して、3つの物語へと入っていく。
1つ目の物語はマケドニアの首都を舞台にしたもので、古いイスラム都市の名残がかなり美しい。2つ目の舞台も同じマケドニアの砂漠、3つ目はとんでフランス北部。設定はオランダのようだけれど。それら3つの物語は完全に独立しているものの、結論は1つで「希望は最後には終わる」。ただしその先はそれぞれ。結局、横つなぎのストーリーというのもそれらの物語と同様で希望はいったん消えるが、その先には新たな希望があるのかもしれない、といった雰囲気。
とにかくメタファーがそこいら中に鏤められていて、構成もかなり複雑な映画に感じました。ただ大筋を押さえていれば理解できなくはないです。僕の場合、最後に全部紐解かれたようにわかったので奇妙な感激がついてきました。ここ最近僕が観た中でもかなりの傑作だと思います。映像もすごくきれいだし、マケドニアに行きたくなります。