C+A

cube32004-08-20

群馬県太田市に竣工した、C+A/小嶋一浩設計のギャラリー兼住宅のオープンハウスへ。渋滞に巻き込まれたため、到着まで3時間程かかる、そんな東京からの距離感の田園風景の中に突如現れる奇妙な肌理をもった奇妙な形態のボリューム。写真をみて頂ければ判りますが、1階はコンクリートの基段でできて、その上には鉄骨に構造用合板を挟んだもの。その上にFRPの透明な樹脂の塗料で防水をしている。2階は実質的にはなくて、みんなが「屋上」と呼ぶ外部空間。3階へは一気に1階から螺旋階段をあがる空間構成は、青木淳の「L」に近いかもしれない。敷地は周囲の畑より若干土を盛っており、道路側からアプローチ。玄関の左手に教室とギャラリー。ギャラリーは80cm程掘られていて、その中心には収蔵庫のボックスが置かれる。その上は4畳半の和室になっていて、その部屋を介して、採光がされている。写真の2階の4面ガラスで囲われている部分。玄関の右側は生活のスペースでアトリエの奥にLDKがパティオを挟んでギャラリーの向かいに配されている。全体のプランから偏心した位置、玄関側に階段室、およびトイレをおさめたコアがあり、そこを導線として、2階の屋上、3階の個室群に登る。3階のボリュームはテトリスのパーツの一つのような形で、個室が3つ納められている。おそらくは表現の中心になっているであろうその3階部のボリュームは、そのコアで全ての横力を押さえてあって、かなり構造的にはアクロバティックなことをしているのが窺える。
 なかなか言葉で空間構成を伝えるのは難しいが、だいたいこんなところで、あとは写真から判断してもらいたい。僕が一番良いと思ったスペースはギャラリー部分で、3.3m程の天井高のスペースと周りの室との関係、中心に置かれた収蔵庫との関係もうまいことスケールがコントロールされていると思う。床の素材も炭入りモルタルなるものにウレタン塗装がきれいにされてあって、コンクリート壁と合わせて、ハイサイドから入る光で程よい明るさの空間を作っている。
 一番?だったところは、屋上部分。なんのためのスペースかはかなり不可解。とりわけ気持ちいいスペースでもないし、これは上述の3階が浮いた空間構成を作りたいがための、作ったための残滓としか思えない。恐らくスペースブロック的なスケールを使って基段より上部を作っているための3階までの高さと言える。僕ならば3階部分のボリュームを1〜1.5m程下げて、屋上もボリュームによって分節された空間を作る。そうすれば、3階のインテリアと屋上の分節された各パートとの関係も位置づけれられそう。加えて、今のままだとプラン的に1階と3階の生活スペースの垂直動線が長すぎる、というか面倒なので、同時にそれも解消できる。3階の眺望はいずれにせよ周りに建物がないため、あまり変わらないだろうし。
 とまあ、言いたいことを書きましたが、これだけ書けるだけ面白いものだったってことです。今後、雑誌に発表されて話題にはなりそうです。多分、文章で書いても伝わらないので、どんどん写真を載せていきたいと思います。