大聖堂

田中くんといる時は比較的まじめに建築の話をすることが多いのだが、電車の中で話していた西沢平良の話。坂本先生は室と室とのつながりで建築の「構成」という概念を引き出してそれを語るけど、彼の場合はスケール(あるいはプロポーション)に話をもっていく。つまり居室を居室たらしめているのは、天井高が2100〜2400mmくらいでどちらかというと扁平な内積。まあ、そんなことを話してからアミアンの大聖堂にいくと俄然その話の説得力が増す。アミアンの大聖堂は西欧建築史の教科書に必ず載っているゴシック建築最大の教会で、高さ42mの身廊をもつ教会。よって側廊に付いている窓がかなり縦長でふんだんに光を取り入れる。曇りがちの天気だったのにこれだけの明るさは驚きに値するくらいで、外に近い光環境なのではないかと思う。加えて42mという高さをもつ天井は常に視界に入ることはなく、そのスケールによって天井という建築の要素がリバースされている。こうなると建築内にいるというよりは、むしろ環境的には外にいるのに近い状態である。体育館のようでもあるかもしれないけど、やはり垂直に高いプロポーションというのが今までに体験したことのない種の空間を作っているとおもう。これは以前に行った、ランスの大聖堂の時にも同じ感覚。古いことであったり、歴史的なストーリーがどうこうというよりも、やはり縦長に巨大であることがこの教会の建築的な価値であると思う。