もものかんづめ

懐かしいタイトルじゃないですか?さくらももこの本だなんて、手にとったのは10年ぶりくらいじゃないでしょうか。そういえば最近、本とか映画の話を書いていませんけど、本は相変わらずのペースで読み続けています。映画は見たら書くようにしているので、つまりほとんど観ていないということです。恐らくラスト侍以来、何ヶ月か観ていないような気がします。本に関しては、日本の名作文学、藤村の「破戒」からヘミングウェイリルケなど海外文学、あと大して分かりもしないのにデカルトとかフーコーとかを手にとってみたり、日本人だと吉本隆明をまあまあ読んでみました。宮部みゆきとか日本の現代の作家のもあります。
数はけっこう読んでいるんですけど、記憶に残ったのは「破戒」でしょうか。明治大正期の部落差別を扱った作品です。主人公が穢多の部落出身でそのことを隠しつつ、学校の先生をしています。父親からの戒で、自分が部落出身であることを隠すこと。それを破るまでのいきさつを描いた作品。部落差別というよりも、そのような抑圧のようなものに対して、葛藤しながら自分を解放して行くようなストーリーに共感出来ます。クラ〜イ作品ですけど、記憶に残る1冊でした。
もものかんずめは家庭教師先にあったもので、ちょっとお借りしてすぐに読んでしまいました。さくらももこはかなり観察力がありますね。日常生活からあれだけの物語を生み出せるのは尊敬に値するんじゃないでしょうか。あまり真面目な評価をされていないみたいですけど、僕はかなり高くかいました。