テロリズムのリアリズム

3月11日にスペインで列車爆破があって以来、フランスでもテロに対する警戒が高まっています。犯行声明ではイタリアと日本が名指しで出ていたらしいけど、フランスでも実は爆弾が11個仕掛けられたということがありました。ここでもまた「11」。これは結構前のことみたいですけど、11個爆弾を仕掛けたという予告があって、実際にトゥールーズ近辺の列車でかなり精巧な爆弾が見つかったとのこと。この犯人は身代金を要求して来て(別に誘拐をしたわけではない、爆弾の犠牲者に対する)、その取り引きは全て新聞広告を通じてという、かなり映画的な要求をしていたそうです。結局、爆弾をひとつ見つけてから、連絡が途絶えたそうですが。
そんな話を聞くと、今までは日本に住んでいて、いくらパレスチナで民衆が石をイスラエル軍に投げる映像を見てもリアリティを持ち得なかったのに、いつ爆弾がメトロに仕掛けられてもおかしくないというリアリティが自分の中に生まれるのが自覚できます。きっと欧州に住んでいる人はある種の戦争状態の中に身を置いていると言っていいような気がします。常に何がおこるか分からない。でもそれにびくびくしてメトロに乗らないわけではなく、過剰に警戒しているわけではなく、潜在的に警戒心があるっていうことでしょうか。ただテロの前では警戒もしようがないという気もします。
僕のよく行く学食でも、3月11日のテロ以降、鞄のチェックが行われるようになりました。おそらく空港警備や国際列車の警備なども厳しくなっていることと思います。僕が聞いた話では、飛行機の場合出発地から到着地までノンストップで行けるために、空港警備さえきっちり押さえておけば多少心配はないものの、列車の場合だと駅が数多くあるとともに、線路の上でも爆弾は仕掛けられるわけですし、危険度はそっちの方が高いとのこと。特に今の時期、卒業旅行の日本人の方は電車を多用するわけなので、どうぞお気をつけて。しかし前述のように気をつけようがないので、なるべく飛行機での移動をお勧めしたいところです。