Projet d'Architecture/Paysage

毎週水曜日の午後からはプロジェ。と、その前にフランスの建築教育のシステムの紹介。フランスでは建築学科は基本的に総合大学や工学系の大学の中にはなくて、エコールという建築のみを専門的に教える学校にあります。要するに単科大学です。加えて日本でいう建築意匠しかなくて、材料、構造、環境といった分野はアーキテクトではなくエンジニアとして工学系の大学にあります。建築計画という概念は日本にしかないと聞きました。これは本当かどうか知りませんが、少なくともフランスにはないようです。僕の通うパリ・ラヴィレット建築大学は学生が総勢2000人、講師陣もウン百人いるらしい。最初の2年間は日本でいう一般教養であまり建築の勉強はしないらしくて、3年生から本格的に建築をするそうです。とにかく学生が多いので授業の数が非常に多くバラエティに富んでいます。プロジェ(設計製図)を中心に様々な歴史(一般、コルビジェのみを扱うものetc..)、造型etc..とにかく、選ぶのが大変。初めの1ヶ月はどの授業を取るかということに労力を費やします。僕の友人で未だに何を取るか悩んでいる人、結構います。

僕は5年生対象(日本でいうM1)の建築/ランドスケープというプロジェを取りました。もちろん他にも興味あるものはあるにはありますが、「折角フランスまで来たんだし、今までにやったことないことをやってみよう」という甘い気持ちで選んだのがこのプロジェ。その甘い気持ちが裏目に出たか、今のところ何をやっているのかさっぱりわからない。噂には聞いていたけど、こっちの授業はとにかく先生が喋りまくります。その説明になんかしらの絵が提示されることは、一部の授業を除いて殆どないので、もちろん全てフランス語ということもあり、全体の20%も分かってないのではないかと思う。

もちろん良く分かってないのでうまく伝えられないかとは思うけど、ペイサージュ(ランドスケープの意)でまずやることは「記憶の地図」を描くこと。一応このプロジェでは広大な敷地を与えられていて、なんの情報も与えられずに敷地を訪れます。ちなみにその敷地というのは、小さな町が4つ分、恐らく10キロ圏内くらいかな。(なんせ情報が与えられてないので、正確にはわからない)敷地を歩く。バスからの風景を眺める。家に帰ってその記憶を下に、透視図を描き、プランを描く。その時に描かれているものは決して現実的に正確ではないかもしれないが、自分の印象が強いもの、風景として記憶に残っているものなので、その描かれているものがとにかく重要らしい。と、今週はここまで。そして、今後はそれを何度か繰り返して、その土地を熟知して、自分なりのテーマを発見する。ということを、1月末までにするらしい。今のところ僕はそう理解しているけど、本当は違うかもしれないので、その時はその度に訂正します。

プロジェをやっていて凄く面白いのは、先生もしゃべるけど学生もよくしゃべる。みんなのスケッチを壁に貼って、それに対して学生がプレゼンして先生がコメントしていくのだが、明らかに学生が手抜きのスケッチを出したとしても、それに臆することなくとにかくなんかしらの正統性を主張する。そんなちゃちいスケッチでプレゼンされた先生も躍起になってそれを批判しにかかる。日本では絶対にあり得ない光景です。そういえば良く聞く話かもしれないけど、フランス人がよくしゃべるというのは事実のようです。それは決しておばちゃんだけではなくて、老若男女全ての人が話好きのように思われる。カフェはもちろん公園でも道端でも。飽きることなくはなし続けている。いずれ寡黙なフランス人に巡り合えたら詳しく紹介したいと思います。