観覧車から眺めたパリの街

いよいよ帰国が明日に迫っています。殆どの人には抜かりなくお別れを言ったし、あとはお土産を買うだけだった今日。お別れを言うといっても特に悲しいことはなく、僕の心には「またいつでもこれるさ」なんて思いがかなり強くある。それだけ僕はパリという街に体が馴染んでしまったのかもしれない。また必ずここに戻ってきて、いつものように食事をして、カフェを飲んで、TVのない部屋で読書をしながら睡魔に招かれるのを待つ、そんな僕のパリの日常がいつもここにあるような気がしている。
今日もスペインで覚えたシエスタの習慣が抜けないで、一度昼食を摂りに外出したものの、戻ってきて3時過ぎまで昼寝をしてしまうありさま。買い物に行こうと思ったら、友人の一人が捕まって、夕方まで付き合ってもらう。最後にやりのこしたことは特にないけど、とりあえずメトロに乗らずに外を歩きたいと思ったので、とにかく歩き回る。夕方にチュイリュリーにある夏期だけ設置される小さな遊園地が目に留まり、そういえばこの観覧車に乗ってなかったことを思い出す。
日本の観覧車のようにガラス張りのゴンドラで15分くらい時間をかけて回るのではなく、一瞬、えっ、って目を見張るほどぐるぐる回り、かつガラス張りの密室とは大違いの開放的な遮るものは手すりのみの。平面的に丸いゴンドラの中心に軸があり、アラブオリジンのにいちゃんの力に因ってそれを中心にぐるぐる水平回転もする。高所恐怖症の気がなきにしもあらずの僕は、最初はちょいと手に力が入ったものの、小雨がぱらつくグレイのパリを眺めて、久しぶりにパリらしいパリを思い出した。
夜は事務所で世話になったピエールと圭子さんにギリシア料理を御馳走になる。そこにいる猫がとても人なつっこくて、テクニシャンの僕はよだれが垂れるほど彼等(2匹)を喜ばしてしまった。さあ、日本に帰るぞ。