昨日の続き、リサイクルについて

cube32004-03-18

何度も繰り返すようですが、ただいま住宅の改修、増築をやっております。石が積まれてゴッツイ既存家屋とガラージュの間に軽い木造のボリュームを置こうと思っています。この話が来たのがつい先日、2週間ほど前でしょうか。相方が現場に行っていたので久しぶりに顔をあわして、打ち合わせをしていたら何やら不穏な雰囲気が。締め切りは来週の火曜日ね、という話は良かったのですが、何の締め切りかというと全ての締め切りでした。僕の中では、エスキースも始めたばかりでクライアントにプレゼンをする(締め切りの次の日)というのは、プランとセクションおよびパースやらアクソメぐらいあって、イメージを伝えればいいかと思っていました。それが大違いで、ディティール含め全ての締め切りだったらしい。ということで、6月竣工です。スピード施工!
ちなみに今回の物件、図面を来週に引き渡して、後は完全にノータッチです。昨日かいた監理すらしないということです。ちなみに僕は一度も敷地を見に行ってもいません。リアリティーのないまま事がどんどん進んで、ものが出来ていってしまいます。
さて、こんな仕事をやっていて相方のピエールが言ったことは「日本はトラディショナルを捨て過ぎる」とのこと。どういうことかというと、今回の仕事のように木造(南仏では組石造がもっとも一般的)で、ディティールもいちいち描かなきゃならない設計をし過ぎる、と思うらしい。確かにフランス、特に南では石を積んで、窓を嵌めて、屋根を架けるという建築のもっとも初源的な方法で建物を建てる。それを建築家もある程度利用して、トラディッショナルなものと折り合いをつけて設計している。それに比べて、日本では何もかもを全て新しく図面にしなきゃならない、ということが効率が悪いように思えるらしい。僕は決して単純にそうとは思わないけど、確かに日本人のディティールへのこだわり(特に実務をしている人はかなり事細かく見ている)は少々過剰すぎる気もするし、フランスの建築の大雑把さにはうんざりすることもある。ただ日本は施工技術が非常に高いのがそのこだわりを生んでいるのだろうし、フランスのその低さがおおらかさを作っていることもあるでしょう。フランスと日本で共通しているのは、建築家は儲からない!ということです。